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| 「〜Thank you for all of you〜」 |
ランディー、12歳。
母親がイングリッシュセッター、父親がアイリッシュセッターのミックス。
この子は私の誕生日の次の年に生まれた。
私にとっては弟的存在だった。
最初は小さかったのに、みるみるうちに大きくなり
私より大きくなっていった。
私は『ランディー』と一緒に散歩に行った。
近所には犬がたくさんいる。
その近所の犬の中に、飼い主さえも噛む凶暴な犬がいた。
そいつは放し飼いで飼われていた。
凶暴な犬はいるときもあれば、いないときもある。
だから私は、あまり警戒していなかった。
凶暴な犬はいた。
暴れまわってボロボロな犬小屋の中に身を潜め、誰かが通りかかるのを待っていたようだ。
私は知らず知らず、近寄っていった。
『ガァァァ!!!!』
犬が飛び掛ってきた。
私は突然のことでビックリしてしまい、その場に倒れこんだ。
犬が吠えながら近づいてきた。
私は恐怖で何も出来ずにいた。
頭の中は真っ白だった。
そのとき、『ランディー』が吠えた。
自分より大きい、凶暴な犬に向かって。
ランディーはうなり声を上げて、凶暴な犬を疉みつけていた。
凶暴な犬もうなり声を上げ、ランディーを疉み返した。
そのとき私には『逃げる』という言葉しか頭に浮かばず、
凶暴な犬と疉み合いを続けているランディーを置いて私は逃げた。
自分の家に走って逃げた。
今では何であの時、逃げ出してしまったのかと後悔している。
このことを祖父に話、凶暴な犬の元に向かおうと
祖父と一緒に家の庭に出たら・・・・
ランディーがいた。
首は血だらけだった。
凶暴な犬と争そったのだろう。
私の目からは涙が溢れ出て来た。
ランディーに何度も何度も
『置いていって、ゴメンね。ゴメンね。』
と繰り返し叫んでいた。
ランディーは
『いいよ』
と言っている様に、
『クゥーン』
と優しい声を出した。
その出来事から散歩は祖父と一緒に行く事にした。
凶暴な犬がいる道ではなく、
他の道を散歩することにした。
ランディーは祖父と狩りをしていた猟犬の子供らしい。
身軽で、険しい道もどんどん進み、石から石へと飛び移っていた。
そのときのランディーはとても、幸せそうだった。
それはまだ、ランディーと私が幼い頃の話だった。
私が大きくなるに連れて、ランディーは歳をとっていった。
茶色でカッコよかった顔はどんどん白くなっていった。
でも、どんなに白くなったってランディーはランディーだ。
他の犬にはならない。
小学生後半になると忙しくなってきて、全く散歩に行けなくなってしまった。
土日に暇ができ、散歩に行こうと考えてランディーがいる犬小屋に向かった。
前のように鎖を外し、リードをつけて歩き出した。
私はそれを見たとき、すごく悲しかった。
昔はポンポン飛べた石の上をランディーは飛べなくなっていた。
そればかりか、階段さえも上らなくなってしまった。
足はガタガタ振るえ、立っているのも辛そうだった。
私の弟なのに・・・・
でも、ランディーは楽しそうに歩いていた。
本当は痛かったのか私にはわからない。
ランディーは喋れないから。
中学に入ると、ますます散歩に行く時間がなくなっていった。
平日は6時まで、学校にいて
帰宅するのが7時。とても遅くて散歩に行ける時間ではない。
休日でも部活動などで忙しく、帰ってきても
ヘロヘロでまったく動けない状態だった。
可哀想だが散歩には連れて行ってあげられなくなった。
そのまま何日も何ヶ月も散歩に行けない日が続いていた。
ランディーはどんな気持ちだったのだろう。
足が辛くて、行きたくなかったのだろうか。
それとも、走ることは出来ないが野を歩き回りたかったのだろうか。
ランディーは目が見えなくなっていた。
たまにはと、いつもは祖父がやっていた餌を私があげに行ったときに私は気がついた。
ランディーの目が白くなっている。
顔も目もどんどん白くなっていっている。
いつもなら、行くとすぐ喜んで吠えて尻尾を千切れんばかりに
振っていたのに・・・・
知らない人に対する吠え方で私に吠えてきた。
『ランディー?』
と呼びかけると、
『クゥーン』
と甘えた声を出して、いつもどうり
尻尾を振ってきた。
私は悲しかった・・・・
ランディーは私の弟なのに・・・
私より先に歳をとっていく
弟なのに先に神様の下にいってしまう
ずっと一緒にいたいよ。
ランディー。
今では毎朝、私が庭に出ると必ず犬小屋から飛び出してきて
『いってらっしゃい』
と言っている様に、尻尾を振り吠えてくれます。
有難う。ランディー。
この先、もっともっと長生きして
ずっと一緒にいようね。
これが私のランディーに対する願いです。
〜Thank you for all of you〜
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