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| 「小さな生き物」 |
私は昔ジャンガリアンハムスターを飼っていた事が有りました。
名前は「ななたん」です。
ハムスターにしてはとても利口で有った事を覚えています。
お部屋の中を散歩させてあげようと、ケージから出すとすぐにベットの下に行きます。
あまり狭い所に潜らないでね、私があなたを見失うとお家に帰れなくなっちゃうよ。
いつもベットの横でそんな事を考えながら、ななたんの歩く音、時には壁を引っかいたりする音を聞きながら、
本を片手にななたんと同じ時間を過ごしていました。
ななたんは遊び疲れると決まってベットの下から出てきて、
私の膝に擦り寄って来ます。
それがななたんの「お家に帰りたい」の合図です。
「ハムスターがそんなに利口なわけが無い、私の思い込みかも」とも思い、
試しに膝の所までななたんがやって来ても又ベットの下へ返してみる事にしました。
ところがななたんはもうベットの下には行きたがらないのです。
その時から「ななたんは本当にお利口さんなんだよ」と言うのが私の口癖になりました。
そうしてから注意して観察すると、
2足歩行をしている事が有って驚かされたり、
餌をたくさんあげても決して食べ過ぎて太る事は無かったり…と、
ついお菓子を食べ過ぎてしまう私よりも偉いじゃないかと反省させられる事も有りました。
そんな日々が、ある日突然終わりました。
ななたんは私の不注意でドアに挟まってしまい、瀕死の重傷を負ってしまったのです。
深夜にも関わらず、あらゆる動物病院に必死に電話をしました。
どこの病院も「たかがハムスターで…」と言った態度を取るのがほとんどでした。
呆れられるのは仕方ない、所詮ハムスターなんだから…
大騒ぎするには生き物として小さすぎるんだ。
自分にそう何度も言い聞かせましたが、それでも諦め切れずに電話をすると、
1件だけ今までの獣医さんと違う反応が返って来ました。
「その子は出血してる?」
初めて取り合ってくれた獣医さんでした。
私は慌てて出血している事を説明しました。
「診てあげるよ、すぐに連れて来なさい」
と言われ、私はすぐにななたんを移動用のケージに入れて、タクシーで病院に向かいました。
真夜中だと言うのに、病院では電気を点けて獣医さんが待っていてくれました。
獣医さんはななたんを優しく手に乗せると、丁寧に診察をしてくれました。
人間だったら、バイクで転倒したくらいの大怪我だとの診断でした。
その話の後、
「この子はよっぽど可愛がられていたんだね。ジャンガリアンと言うのは本来気性が激しいのに、
ずっと僕の手の中で大人しくしているよ。怪我の時は一層暴れるはずなのにね」
と獣医さんに言われました。
…私は何も言えなくなり、大声で泣き出してしまいました。
獣医さんの優しい言葉が嬉しかったのか、自分には可愛がったと言える資格が無いから辛くなったのか、
今ではわかりません。
ただ「2度とこんな想いはしたくない」と思ったのだけはハッキリと覚えています。
私が泣き出してしまったので、獣医さんは困った顔をしながらも「明後日手術をしよう」と言うお話をしてくれ、
私たちを家までご自分の車で送って下さいました。
車の中で獣医さんがかけてくれた言葉を今でも忘れられません。
「悲しいことが有ったからと言って、2度とペットを飼わないなんて絶対に思わないでね」と。
次の日、手術を受ける前にななたんの命は尽きてしまいました。
もっとも、手術をしてもそれに耐え切れる体力はハムスターには無かっただろう、とも獣医さんに言われました。
寿命だったんだ。
そう、無理やり自分を納得させる事しかできませんでした。
その後ペットを飼っている人を見るたび、
自分の不注意でななたんを死なせてしまった事を何度も思い出すようしなりました。
獣医さんに貰った暖かい言葉とは反して「ペットは2度と飼わない」と言う気持ちになっていたのです。
そんなある日、私が出会ったのがLivly Islandのミミマキムクネでした。
最初は姉に勧められて飼いましたが、ペットと言うよりもゲーム感覚で育てていました。
その内に、ミミマキムクネが歩いたり餌を食べたり、そして放浪したりお喋りしたり…
色々な動作を見て行くうちに、感情移入をして行くようになりました。
怪我をした姿を見た時は、ミミマキムクネがより一層愛しく思えました。
その時気づいたのです。
「あ、なんだ私ペット飼ってるじゃん」と。
ミミマキムクネは決してななたんの代わりにはなりません。
ですが、ななたんと同じくらい大切にしたいと言う想いが有ります。
2度と悲しい想いをしない為に前へ進まない事よりも、
2度目の楽しい想いをする為に、前へ前へと歩みを進めて行こうと思います。
これが、私がペット達に教えられた事です。
小さな生き物達に、大きな事を教わりました。
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